「世代を超えて一人ひとりの平和への想い・表現を大切に」ーデモや集会での発言から

 憲法かえるのやだネット長野は戦争をしようという安倍政権の動きに反対の声をあげる長野市民有志のネットワークです。秘密保護法強行採決後の１２月１８日に結成し、１０代から７０代のすべての世代によびかけ人がいます。「世代を超えて」「一人ひとりの思いや表現を大切に」をモットーに、取り組みをすすめています。

 〇原発反対の声を上げると悪者？
安倍政権の暴力的な政治に、若い世代は深く傷つけられています。原発立地の福島県楢葉町から避難を余儀なくされた、野口智子さん（仮名、信州大２年）の「原発事故でふるさとを追われ、健康を脅かされ、声を上げたら悪者扱いですか？」という悲痛な訴えには、私たちは胸が張り裂けそうな思いになりました。

私の実家は、第一原発から 15 キロ、第二原発から5キロ南の楢葉町にあります。
楢葉からいわき市の小学校へ避難して２日目の2011 年 3月 14 日、私と母は衣類を買いに、避難所から 40 分ほど歩いて買い物へ行きました。その帰り、のどが渇いたので、近くのコンビニへ寄ってアイスを買い、駐車場で２人で食べていました。第一原発3号機が爆発したのはそのときでした。 コンビニの定員さんが店のシャッター を閉めはじめたので、「どうしたのですか」 と聞くと、「原発がまた爆発したんだよ、早く帰ったほうがいいよ」と言ったのです。
急いで避難所へ戻りましたが、それまでにどのくらいの量の息を吸っただろうと考えると、怖くてたまりませんでした。

震災から一か月もたたない4月上旬、楢葉町が警戒区域になる前、立ち入り禁止になる前に、私は一時帰宅しました。高校の制服や教科書などを取りに戻りまし た。
 震災から一年聞は、私は福島県いわき市で一人で暮らしました。そのときは水道水やスーパーの野菜など、放射能のことは特に気にせず食べました。
でも今になって、これから癌になったらどうしようとか、将来自分の子どもは元気に生まれるだろうか、と思うようになりました。

政府が無理やり制定した秘密保護法は、原発からどのくらいの放射能が、どの方向へ、どの地域に漏れているかという情報を隠すことができます。原発がどうなっているのか、私たちは知ることができなくなってしまいます。
さらに原発の情報を調べようとするだけで、私たちは逮捕される可能性があります。また、原発はもういらないと、このような集会で声を上げるだけでテロリスト扱いされてしまうのです。（中略）
自分の命にかかわる情報を手に入れたいと思うことはおかしいでしょうか。私たちの命を脅かす原発はもういらないと 、声を上げるのはいけないことですか。

私たち被災者は、原発事故でふるさとを追われ、健康を脅かされました。精神的な苦痛は計り知れません。「お墓に避難します」と言って、自ら命を落とした人までいるのです。いまも 多くの人が避難生活に不満を抱えて生活しています。

しかし、政府は原発の再稼働や海外輸出に躍起になっています。エネルギ ―基本計画では、「原発は重要電源だと 、これからも原発を維持していく方針を示しました。そして次は何だと思ったら 、この秘密保護法です。原発事故の被災者になり 、原発反対だと訴えたら悪者扱いにされる、こんなひどい話がどこにありますか。

私は秘密保護法に強く反対します。安倍政権を許せません。今の政府は、すでに国民の声を無視して、民主主義のかけらもありません。
 秘密保護法が施行されたら 、この日本は崩壊すると思います。いま、みんなで声を上げて秘密保護法を撤廃させましょう。
 
〇母として、歌手という表現者として 

シンガーソングライターの柴村佳奈さん（２８）は、生活と知る権利、表現の自由のかかわりを学び、デモで自分の思いを発言、信濃毎日新聞５月５日付「憲法と私」にも登場しました。

私は今年第一子を授かり母になりました。母になってから気付いたことは、命を育てていかなければならないという責任感です。そして、この子たちの暮らす未来を想像しなければならないという使命感です。そのためには情報が必要なんです！

私たちが今最も不安に思っている原子力発電所の安全性や放射線被ばくの実態、健康への影響などの情報。その知りたい情報が隠されること、そして知ろうとすることが罪になる。それはおかしいんじゃないかな？と思うのです。

危険な原発を未来に残すことに反対して何故いけないんでしょう？

私たち国民に知る権利はあると思います。

無言館館長の窪島誠一郎さんは「秘密保護法で一番恐れるのは、個人が萎縮すること。自分の発言や自己表現は、どこかで監視されているんではないか。そぅいうおびえの中で縮こまっていく、国がやせ細っていく・・・」といいます。

美術・音楽などの表現者、あらゆる自己表現に打ち込んでいる人たちに萎縮を生むこの法、私は母として、歌手という表現者としてこの秘密保護法の廃止を求めます。

〇高校生でさえ興味をもち、心配する秘密保護法と改憲草案はおかしいんじゃないか？

高校生のマリリンさん（１６歳）は学校で秘密保護法反対の署名を集めました。

私が署名を集めたきっかけは、昨年同じ吹奏楽部の友達に「秘密保護法案可決しちゃうのかな？」と言われたことでした。

その時は自民党の改憲草案が同時に話題になっていたときで、「国防軍とこの秘密保護法案によって、自分たちの知らないところで戦争がはじまってしまうのではと心配している」という話でした。

高校生でさえ興味をもち、心配するこの法案と改憲草案はおかしいんじゃないかと改めて思いました。その話を聞いた他の部員も「俺も戦争はイヤだ」と言ってくれました。

１年生部員１５人全員が署名に協力してくれた

署名は選挙権のない私たちができる意思表示のひとつ。私はみんなに署名をよびかけることにしました。昼食のときにどのタイミングで言い出そうか迷いながらも、思い切って切り出してみました。すると１年生部員１５人全員が署名に協力してくれました。

私の学校は時事問題について、よく授業で話をしてくださるので、今回、友達が話しかけてくれたのも、その授業で興味をもってくれたからだと思います。

安倍政権は高校生の思いを知ってほしい

私はこの法は、知る権利を無視し、法に関わる人だけではなく、そのまわりの人のプライバシーまでをもおかす法だと思います。

高校生までもがおかしいと思う法は絶対に施行されてはいけないと思います。

安倍政権は高校生の思いを知ってほしい。

私も学校でもっともっと署名を集めますので、みなさんいっしょにがんばっていきましょう。