松代大本営案内板とパンフレットの修正文について

松代大本営説明板とパンフレットの修正文についてのコメント

長野市が「松代大本営地下壕」入り口に設置した説明看板の住民及び朝鮮人労働者が工事にかかわった部分中、「強制的に」の表記をテープで覆っていることが、8月8日の信濃毎日新聞の報道により問題になりました。市側は文字を覆った理由として「強制的」を否定する投書やメールが複数あったからだとしました。

 

説明板の現状復帰と史実に基づく検証を求めて、1200人を超える署名が集まりました。署名にご協力いただいたみなさん、応援いただいたみなさん、ありがとうございました。

10月8日、長野市から松代大本営説明板とパンフレットの修正文が発表されました。

私たちは案内板やパンフレットについては、松代大本営の工事において、住民及び朝鮮の人々の労働の動員に関わる、削除された「強制的に」の文言の原状復帰をもとめると同時に、あらためて見直すということであれば、長野市誌などの史実に基づく検証を求めてきました。

この要望から見れば、市の発表した修正文は不十分なものと言わざるをえません。一方で「強制的に」の文言が復活したことは、長年の研究の積み重ねを否定できなかったということです。また、「平和な世界を後世に語り継ぐ上での貴重な戦争遺跡」という文言が新たに加わりましたが、これは多くのみなさんから署名などに寄せられた声を届けるべく、私たちも市への申し入れで確認してきたことで、声をあげることの大切さを実感します。

修正文について私たちが感じた問題点を述べます。強制的な工事への動員や、パンフレットの方では工事の犠牲者についてふれていますが、これらの歴史的事実に対して「と言われている」という断定を避けた表現は、歴史に向き合う真摯さに欠けています。

「さまざまな見解がある」というのも、長野市誌にしめされた市の見解と矛盾しています。

また「当時の関係資料が残されていない」と他人事のように書いていますが、終戦時、軍・政府の指令で、全国各地の関係資料がすべて燃やされ、証拠隠滅がはかられた歴史があります。現在、問題になっている秘密保護法との関係でも見過ごすことはできません。阿智村では、戦争動員のポスターを当時の村長が守りぬき、現在貴重な資料として保存されていますが、こうした姿勢を見習うべきです。

 

二度と戦争を繰り返さないために、私たちは戦争の被害の歴史も加害の歴史も、ともに忘れてはいけない、知っていかなければならないと思います。

 

2014年10月8日 秘密保護法やだネット長野事務局