みなさん、共謀罪は憲法の問題です。
共謀罪は、憲法で保障されている私たち国民の人権を、憲法より下にあるはずの法律で侵害するものです。
共謀罪は憲法の問題であって、私たち国民すべてに関わる問題であるということを、今一度、思い起こしていただきたい。
多くの方々が指摘しているように、共謀罪によって、監視社会が到来する、国民が萎縮してもの申すことができなくなる、そういう社会になるおそれがあります。なぜなら、ある団体が正当なものから犯罪集団に一変したか否かは、正当な団体の段階から、常時監視していなければわからないし、市民の語らいが、ただのたわいもない話なのか、犯罪の計画をたてているのかは、聞いてみなければわからないからです。
共謀罪は、私たち国民を日常的に監視することを警察に許す法律なのです。
では、そういう社会になってしまった場合、どんなことが起きるのでしょうか。
改憲がいよいよ現実味を帯びてきましたが、私は、共謀罪は改憲の際、猛威をふるうのではないかと思っています。
たとえば、改憲に反対するために、正当な方法でのデモの計画をたてた場合に、共謀罪の対象犯罪である組織的威力業務妨害罪の共謀の疑いがあるなどとして捜査がなされれば、改憲に反対する運動は一気に萎縮し、そういうことに関わらないほうがよい、という空気が生まれるかもしれません。国民投票には、最低投票率の定めがありませんので、投票率が低ければ低いほど、少数の賛成票で改憲が成立することになります。
共謀罪は、使い方によっては、政府の意に反する国民を取り締まるために使えてしまう、民主主義をいとも簡単に壊してしまう、非常に恐ろしい道具なのです。
後でしまった、と思っても手遅れです。
主権者である私たち国民が、政府に対して「憲法を遵守しなさい」と命令する側にいるはずの国民が、政府の顔色をうかがって、政府の怒りを買わないように気をつけながら、人権を侵害されても文句ひとつ言えずに、堪え忍んで生活する世の中なんてごめんです。
憲法違反の共謀罪を成立させてはいけません。
政府も国会も憲法を遵守しなさい。
以上が弁護士、岡田からの訴えでした。(長野市内での共謀罪反対スタンディングでのスピーチ、5月19日)