十二月八日。
あの真珠湾攻撃の翌年、
国民学校一年生だった。
それから、まもなく日本軍は敗退に敗退を重ね、
戦場からは次々と遺骨が無言で帰った。
校庭に全校生徒までが集められ、合同葬が営まれた。
兵士たちの多くが、南海諸島のジャングルで飢えて死んだとか、
全く知らされることはなかった。
すべてが、お国のために勇敢にたたかった英雄だと称えられ、
君たちも、臆せずに続けよと。
だが、やがて敗戦。
ぼくたちは、軍国主義教科書に墨をぬる、墨塗り少国民となった。
意味も分からず、言葉を消すことに怯えつつ、教科書をべたべたに汚した。
現政権が、公文書の不都合な部分を、墨塗りで公開したり、教科書への記述を拒んだりするたびに、あの日々を思う。
彼らには、真実の歴史を、真実の言葉を消すことの怯えや、罪の意識がないのか。
明日を平和で豊かに暮らす知恵は、歴史と自然界の摂理に学ぶしかないのだ。
その墨塗り政治の果ては、米軍と一体となった広大な再軍備計画、宇宙部隊実現にまで及ぶ。
宇宙ゴミ対策という欺瞞の名目を挙げつつ。
――そこまで行っているのに、改憲とは何なのか。
ぼくは憂える。
安倍政治の罪深さを。未来の暗さを。
今こそ、良識ある市民の怒るときである。