【請願(陳情)趣旨】
自衛隊員の採用は2014年から4年連続で計画割れですが、安保法制の成立により自衛隊が海外の戦場に送られることへの危惧や懸念が反映しています。
安倍首相は防衛大臣による名簿の紙媒体での提供要請に対し6割の市町村が閲覧にとどめていると問題視し、憲法改正を主張していますが、憲法問題を理由に紙媒体での名簿提出を行っていない自治体はありません。住基法は「閲覧」こそ認めていますが、「提供」までは認めていません。個人情報保護が理由です。
防衛省が名簿の提出を求める根拠とするのは、市町村が「募集に関する事務の一部を行う」と定めた自衛隊法と、市町村に「募集に関し…資料の提出を求めることができる」とする自衛隊法施行令一二〇条ですが、提出に応じる義務は明記されていません。
地方自治体が個人情報保護を求める住民の声を尊重して、地方自治の立場から閲覧にとどめていることに対し、安倍首相が憲法改正まで口にするのは、戦前の日本が国民の人権や地方自治の上に軍隊が君臨したように、個人情報を理由にするのはけしからん、名簿を召し出せ、地方自治や人権よりも防衛省・自衛隊の要請が上だと言っているようなものです。
2月25日の朝日新聞で、宮城県のある町の担当者が、「県や民間企業にも同じように閲覧で対応しているのに、写すのが大変だからという理由で、自衛隊だけを特別扱いできない」と反論しています。
2月17日の信濃毎日新聞で「自衛隊長野地方協力本部(長野市)によると、長野県内77市町村のうち、18年度に紙媒体で情報提供したのは44市町村」と報道されています。閲覧にとどめている自治体は、「法律でできるのは閲覧」「名簿提出の具体的な手続きを定めた法律は見つからなかった」「個人情報なので抽出リストを提出することは差し控えている」などが理由です。
自衛隊に名簿を提供している自治体は、提供している事実を公表しない傾向もあります。「自衛隊法に基づく情報提供のため、住基台帳法の公表義務はない」との見解も聞きましたが、住基台帳法が閲覧者の公表を求めるのは、市民が自分の情報がどう扱われたかを知る権利を保障するためです
憲法92条は「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」としています。国の主権者は国民で、自治体の主権者は住民です。決定権は住民にあります。国家が決定するわけではありません。
よって以下、請願(陳情)します。
【請願(陳情)項目】
1、自衛官募集に適齢者名簿を提供しないでください
2、条例に基づく個人情報の利用停止請求が行われた場合は、請求者の個人情報の提供をとりやめてください。